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今宵、神楽坂で

第二十一号(2021年06月)

三蔵法師の旅 ~平成西遊記~ ⑪

2021年07月08日 15:58 by morrly

 7月4日、晴れ。今日こそトルファンに到着するぞと7:45に出発。しかし、よく眠れなかったせいか足が重い。そして30分後にはパンク、修理するも一時間後には再度パンクとここに来て進みが遅くなる。昼には早々に進むのを断念し小さな町のピチャン(鄯善)にて宿泊することにし、鋭気を養った。三水賓館(25元)

 

 

 翌日、本当に今日こそトルファンだ、と意気込んで出発。しかし今度は宮代の自転車が早々にパンク、昼頃に再度パンクとこの日も遅々として進めない。道端で修理をしていると、ぞろぞろと人が集まってくる。ここら辺の小さな村は皆ウイグル人であり、漢民族はいなかった。その中のおじさんがうちでご飯を食べてけと誘ってくれたので遠慮なくついていった。平屋のそこそこ大きな家に入ると、地面の上に大きな絨毯が敷いてあり、その上に直接座った。食事はポロ(ラム肉の炊き込みご飯)とナンが出された。こちらでは一般的な料理だということだった。子供も大人も大勢で一緒に食べ、非常に賑やかだった。恐らくいくつかの家族が混ざっていたのだと思う。向こうの人に合わせ箸を使わず手で食べたのだが、米が手の中でポロポロ崩れて口へ運ぶのにかなり手こずった。

 

 

 最後にみんなで写真を撮って出発。段々と身を焦がすような暑さになってくる。15:00頃に炎が燃え盛る山、火焔山が登場した。草木一本生えてなく、赤茶けた土で覆われている。この時、私は火焔山は西遊記にだけ出て来る空想上のものだと思っていたので、自分があっちの世界に行ってしまったのかと錯覚してしまった。

 

 

 その火焔にやられたせいか、宮代が本日3度目のパンク。修理するも一時間後に4度目のパンク。ここにきてパンク祭りが進行を妨げた。しかし、宮代は遂に仏の境地に達したらしく、「なすがままに」と修理するのを諦め、そのまま最後まで行くことにした。

 

 

 トルファンが近づくにつれ、ポツポツと人家が現れてくる。更には青々とした緑も増えてきた。19時にやっとトルファンに到着。西安からここまで約2500kmを走破した。万里の長城の最西部にある関、嘉峪関を抜けてからひたすら茶色の世界であり、身も心もカラカラであった我々は、オアシスという言葉に込められた旅人の思いを身に沁みて感じていた。

 

 

 トルファン市(吐魯番市)は、中国新疆ウイグル自治区に位置する地級市で、市名はウイグル語で「人と物が豊かな地域」を意味し、天山山脈東部山間の盆地トルファン盆地の中央に位置する。古くより交通の要所であり、シルクロードの要衝として栄えた。トルファンは海抜がマイナスの場所がほとんどであり、トルファン市街のそばにあるアイディン湖の水面は海抜-154mで、中国で最も低いところにある。昔から葡萄が有名で現在ではワインの一大産地になっている。夏には歩道の頭上に葡萄棚が広がっており、我々に日陰と共に果実を提供してくれた。

 

 我々はここで一週間ほど逗留することになる。しばしの休憩とロバ車に乗り換える為だったのだが、真っ青な空、茶色い建物、緑緑した葡萄棚、そこから零れる日差しがとても美しく我々の足を長く止めさせたのかもしれない。(つづく)

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