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今宵、神楽坂で

第十五号(2021年3月)

バー巡り・其の七(後篇)

2021年03月25日 15:36 by kneisan2011

Hop – Scotch Craft Beer & Whiskey

 

■ビールの美味しい飲み方、そしてグラスについて

 

「急ぎすぎず、さりとて時間をおかず。一気飲みはせっかくのビールの美味しさが伝わりません。適当な時間をかけて飲むと途中で味わいの変化を楽しむことができます。」とは小池さんのアドバイス。1パイントはアメリカでは473cc、U.Kでは568ccである。どのくらいの速度で飲み切るのが理想なのか? これは個人差がありそうだけど、ストップウォッチ片手に今度私もやってみよう。

 

“美酒は器を選ばず”。IPAを美味しく飲むさいグラスは選ばない。ベルギー・ビールはビール1種類につき特定のグラスを使う。だからベルギー・ビール専門店には夥しい種類のグラスが陳列されている。一方IPAスタイルは違う。せいぜいパイントの違いでグラスの大きさが変わるだけだ。肝心なのはビールそのもの。「ビールをいかに美味しく飲んでもらうかに尽きます。グラスの意匠は関係ありません。」と小池さんは話す。それより大切なのはライン(ビールを通す管)の管理だとか、樽の保管といった現実に神経を使うことだ。さすが実用主義(プラグマティズム)の国アメリカ的発想である。ラインは2週間に一度アルカリ性薬剤で洗浄し、ラインそのものを定期的に交換している。生樽は常時冷蔵庫に保管する。お客さんに美味しいビールを楽しく飲んでもらうための努力を小池さんは惜しまない。

 

 

<Hop – Scotch Craft Beer & Whiskey >はオリジナルグラスでビールをだしている。初年度はお店のロゴをあしらい、2年目は二丁拳銃、3年目は3つの頭を持つギリシヤ神話の冥界の番犬ケルベルスを図柄にし、4年目は“フォースとともにあらんことを”にあやかってSTAR WARSぽいロゴをプリントした。そして現在5年目は野球選手の背番号スタイルだ。遊び心が楽しい。ビールは楽しくやるものなのだ。<Hop – Scotch Craft Beer & Whiskey >ではクラフト・ビール・メーカーに頼んで毎年、オリジナル・ビールを作ってもらうという。それを飲めば一年いいことありそうだ。

 

 

■ビールと相性抜群のフルドポーク・スライダー

 

パイントグラスでカリフォルニアスタイルのクラフト・ビールを喉に流し込むなら、フルドポーク・スライダーが抜群の相性だ。調味料を馴染ませて焼き目をつけた豚の塊肉をBBQソースで煮込む。そうしてホロホロになった肉をほぐして食べるのがアメリカのソウル・フードのフルドポークだ。さらにそれをコールスローと一緒にバンズに挟む。この小さなハンバーガーはスライダーと呼ばれる。なんでも喉を滑り落ちてゆくイメージということらしい。こいつを頬張ってIPAを喉に送り込めば絶対に幸せになれるに決まっている。このほかにもルーベン・サンド、ケサディーヤ・チキン(メキシコ料理)、自家製ビーフ・ジャーキー、栃木のジャンボ餃子など、ビールのお供の役者は勢ぞろい。また、毎月第二土曜日はお客さん自身の手で作るたこ焼きデーなのだそうだ(現在はお休み中とのこと)。そして毎週水曜日はランチでカレーを出している。

 

 

クラフト・ビール、それもIPAのことばかり書いてきてしまった。店の名にはWhiskeyの単語が含まれている。そう、<Hop – Scotch Craft Beer & Whiskey >ではこだわりのScotch Whiskeyを飲むことができる。Hemp Sparrowという麻雀の意匠をラベルにしたスコッチ・ウィスキーのシリーズが好評だ。このボトルは見ているだけで楽しい。Whisk(e)yのほかにジンも種類を揃え、日本で作られたアブサンといった珍しいリキュールのラインナップもある。

 

 

■こんな店でありたい

 

「ひとりで来ても誰と来てもワイワイ飲めて楽しい店でありたいですね。飲むお酒は何でもいい。一息つけて気軽にお馴染みさんとお喋りできるのがスタンディング・スタイルのいいところ。席が固定されてないから自由度が高い。お客さんはご近所さんや、勤め帰りのビジネスパーソンで30~40代が多いかな。近くに出版社も多いし、近隣の大学の学生や先生もいらっしゃいますね。ひとりで来られてここで知り合いを見つけてグラスを合わせてるのを眺めるとこっちも楽しくなります。そうそう、海外の方もよく見えますよ。クラフトビール専門のアプリ(Untapped-Discover Beer など)でうちを見つけてくれたり、SNSの情報をたどって来てくれたり、クラフト・ビール好きの人たちが毎日集まってきます。」

 

店内正面にあるビール・メニューのボードを見上げて迷っているお客さがいたら好みを聞いてビールをチョイスしています。」という。それはバーテンダーそのものだ。そう、小池さんは都内某ホテルでバーテンダーをしていたのだから、初めてのお客さんへのアプローチも完璧なのだ。お店に立っていて幸せを感じるのはどういうときですか?と聞くと「いろいろな人との出会い、に尽きますね。妻との出会いも飲食店でした。私の店で知り合ったカップルが結婚までいったら嬉しいです。」と言って白い歯をみせた。

 

 

 コロナは本当に嫌なやつだ。人間同士が大勢集まってワイワイ楽しく過ごせる時間を奪ってしまった。ビールはみんなと楽しくやる酒だ。友だちや仲間たちと美味しいビールを片手に楽しくやれる日が早く戻ってきて欲しい。

 

< Hop – Scotch Craft Beer & Whiskey >

162-0825 千代田区富士見2-2-11 井上ビル1F 

Tel 050-3136-9699

営業時間  17:00 ~ 24:00 土・祝日は15:00 ~ 24:00

(現在2021年2月時点は15:00 ~ 20:00、休みは 火・金・日)

定休日 日曜

スタンディング 15 ~ 20名

喫煙 NG    WIFI環境あり

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