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今宵、神楽坂で

第八号(2020年11月)

バー巡り・其の四(後篇)

2020年11月24日 19:50 by kneisan2011
2020年11月24日 19:50 by kneisan2011

VINO NAKADA

 

■〝アスリート農家〟の旬の食材を使ったイタリアンをお客様に

VINO NAKADA〉の料理は昔勤務していた会社で一緒だった仲間・Iさんが担当している。7年前にお店を立ち上げる時に招聘した。「一つひとつの商品を作っていく上でイメージを共有することを何より大事にしています。料理のテーマは、季節の旬なものを使うこと。お客様に食を通じて季節を感じていただくこと、さらに野菜や肉を作る人の思いを伝えられたなら」と熱く語る。

 

 

そして料理に使う野菜は千葉県山武市のアスリート農家から送ってもらっている。どうしてアスリート? 中田さん同様アスリートな人が日焼けして土と格闘しているのだろう。そのアスリート農家“じゅんじゅん”が作った新鮮野菜を〈VINO NAKADA〉ではふんだんに使用。人参、さつまいも、ルッコラ、コリンキー、ズッキーニ‥‥。シチリアのエクストラ・ヴァージンオイルをふんだんにかけた房総の新鮮野菜サラダは身体を巡るすべての血液を浄化する。そこによく冷やした白ワインは最高だ。そして新鮮なバターを熱く溶かしたキントキダイのソテー、生シラスのアヒージョ。モッツァレラ・チーズはナポリの水牛、ペコリーノはサルジニアの羊飼いの手によるものを。「今の季節だと、鮎のコンフィ、自家製ソーセージ、新鮮なスルメイカをフリットで。これは白ワインによく合います。」

 

 

〝言葉で料理を作る〟と、中田さんが言葉を発した。どういうことですか? 「これまでたくさんの仲間やスタッフと共通の思いだとかニュアンスを大切にして料理をリリースしてきました。お客さんにはメニューの文字に何かしら僕らの思いを伝えることができたらな、と思っています。ユーモアも含めてね。」なるほど、〈VINO NAKADA〉のメニューには楽しい言葉たちが踊るように並ぶ。こんなふうに‥。

 

アスリート農家じゅんじゅんの野菜のピクルス(魂と気合のこもった千葉の健康野菜)

 

最高においしいチーズ・ディップ!

 

3種のチーズの熱いパン・グラタン(ゴルゴンゾーラ・モッツァレラ・パレミジャーノ)

 

おすすめ!NAKADA前菜ニクニク(肉肉)プレート

… 生ハム、サラミ3種、パテ・ド・カンパーニュ、鶏レバー、ペコリーノ・チーズ etc

 

今日のUMA美味しSI!

… 茨城 シラウオのアヒージョ / 山形 マッシュルルームのサラダ / 愛媛 鮎のコンフィー / アスリート農家じゅんじゅんの健康サラダ、ナスとマリネ 羊のチーズ添え 自家製サルシッチャ(ソーセージ)の白インゲン豆トマト煮込み

 

などなど。スタッフのあふれる気持ちが伝わってくる。

 

 

 

このワインはすごいぞ

地中海にパンテッリーア島というシチリア島とアフリカ北部のチュニジアとの間に小さな火山島が浮かんでいる。そこのワインが絶品で、日本では〈VINO NAKADA〉だけで出しているという。ジビッボ(Zibibbo)という固有の品種で作られる。アフリカ大陸から吹き付ける熱風(シロッコ)と海からの強風に耐えて島の葡萄は育つ。根もとには貝殻が敷き詰めていて、貴重な水を受け止める。同時に貝殻は葡萄の木を守る役目も果たしている。よいストレスがかかり、香りは華やか。幸水(なし)のような爽やかなな香り、甘ったるさはなくドライで、料理はシーフードとの相性が抜群。オリーブ油ととても相性がいい。NAKADA自慢のワインだ。そしてグラスワインは赤、白、スパークリングを常時10種類をグラスで提供している。

 

 

さらには他所ではちょっと手が出しにくいワインを安くだしている。「本日のカルト・ワイン」と銘打ち、スーパータスカンを代表するORNELALA(オルネライア)、SASSCAIA(サッシカイア)や、シチリアのMILLE E UNA NOTTE(ミレエ ウナ ノッテ“千夜一夜”)など、ワイン通な人にはたまらないラインナップだ。

 

 

 

■中田さんにとって仕事とは?

「基本は人です。お客さん、そして従業員、家族、地元の仲間たち。大切なのは人だと思います。たくさんの人に喜んでもらえること。その手段が料理でありワインなのです。そうして人と人が繋がっていくのが生きていることなんだと思いますよ。」と語る中田さん。ラテン系は能天気とかよく言うけど、日々を悔いなく生きることは実は宗教の教義に通じる。野菜も肉も魚も乳製品も、大地からの恵みは命そのものだ。その命を身体に取り入れて私たちは毎日を生きている。中田さんの語る人と人の繋がりというのはその延長にあると感じた。ところで〈VINO NAKADA〉のサイン(看板)が素晴らしい。ワインを手にした女性と男性が向き合って楽しそうに語らっている。その姿が柔らかくシンプルなラインで表現されている。親密で優しく幸せな感じが伝わってくる。この作品は開店準備のときにアルバイトをしていた美大学生の女性に描いてもらったのだそうだ。「素晴らしいイラストを描いていただいた彼女には感謝です。」と中田さんはニコニコして言った。

 

 

 

■神楽坂のイメージ

昔々、中田少年は伊豆半島の野山や海を駆け回り、街ではやんちゃをしてきた。でも神楽坂で7年、50代の中田さんはやんちゃはしない。悪口は絶対に言わない。つねに穏やかに。「あたりまえです。ここは神楽坂なんですから」 やんちゃのエネルギーは今は地元亀戸のバレーボールチームで発散している。そう、この街はたおやかで、素敵な人たちの歩く、最高にシックな街です!と中田さんは神楽坂に心底惚れこんでいる。

 

 

<VINO NAKADA>

162-0825 新宿区神楽坂5-43 

Tel 6457-5747

土 ランチタイム12:00 ~15:00 ディナー17:00 ~ 27:00 ※

日    12:00 ~ 24:00

月    定休日

charge    1,000円 

喫煙不可  WIFI環境あり

※深夜営業についてはお問合せください、とのこと。

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