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今宵、神楽坂で

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2020年09月22日 19:47 by kneisan2011

Bar Sylvius

■ついに『Bar Sylvius』を立ち上げ

「お金が貯まったら物件を探そうと思っていました。それは2015年のことでした。神楽坂は飲食店の激戦区で、探す人間にとっては苦労する場所。いい物件があったと思ったら自分は2番手、3番手だったり。なかなか見つからなかったです。途方に暮れていたある日、郵便受けにチラシと名刺が差し込まれ、それが縁になりました。」苦労されてお店を持たれた田淵さん、これまでの知恵と経験を、ご自身の店でどう開陳していったのか。田淵さんの信条は何ですか? の問いに「『謙虚と誠実さを忘れるべからず』です」と即答された。「これは京王プラザホテルの名バーテンダーで、バーテンダーとして史上初の黄綬褒章を受章された渡辺一也氏の有名な言葉なんですけどね。」と教えてくれた。謙虚な人だ。さらに、バーテンダーとしての矜持、譲れないことは何ですか? と尋ねると、「プライドは高く持たないこと」と得心の笑顔を見せてくれた。

 

■お酒をつくるときに心がけていること

「所作を綺麗に」です。そして清潔感。いつもお客さんから見られていることを意識して仕事をしています。バーテンダーにとって所作はいかに大事なものか、前回(バー巡り・其の壱)で登場したBAR 夢幻〉の松永無限さんも熱く語っていた。田淵さんは続ける。「静と動をうまく組み合わせるんです。滑らかに流れる動き、次には凪の静けさ。この感覚は日によって微妙に違うんです。常にベストコンディションになるように調整していますけど、身体が重いなあというときも正直あります。」同じ投手なのに、ある日は球にキレがあったり、ある日は反対に打ち込まれたりする。バーテンダーも人間、同じことだ。田淵さんが開店前に毎日欠かさずしていること、それはギムレットを作ることだ。シェイクし、身体のキレを点検する。出来上がりの味をチェックし、フレッシュライムや氷のコンデションを確かめる。入念に高みを目指す。その日最高のパフォーマンスを披露するために。開店前のギムレット作りは終わりがない。でも何故ギムレット?「そりゃ、ぼくがギムレットを好きだからですよ。」なるほど、その羅針盤は信頼できる

最近よく作られるお酒を尋ねてみた。「ギムレット、ジントニックはよくでます。それとフルーツ・カクテルですね。今の旬はピオーネ(種なし巨峰)とスパークリング・ワインのカクテル。ハイボールもよく飲まれていますよ。アイラ島のブレンデッド・ウイスキーのアイラ・ミストのソーダ割りはとっても美味しいです。」 貴方がジンを好きであるなら、そしてライムの香りがお好みならば、Bar Sylvius』での最初の一杯はギムレットから始めるのはいい選択だ。

■田淵さんにとってBARとは何ですか?

「安らぎの場所かな。私が客なら、BARカウンターについたら安らぎたい。だから、来店されたお客様には肩肘張らずに飲んでもらいたいと思っています。BARは喧噪から離れた非日常的な場所ですけど、是非普段使いしてもらいたいのです。だから価格設定も意識しています。」 この仕事を続けてよかったな、と思うことは?の問いかけに、「人との巡りあわせですね、それに尽きます」と答えてくれた。「コロナでみんなが本当に大変なときに、クラウドファンディングで支援してくださったり、変わらず飲みに来てくれたり、感謝の言葉しかありません。」と返ってきた。

■神楽坂という町について

神楽坂の印象を語ってもらった。「そうですね、神楽坂は品が良くて大人の町というイメージですか。お客様が素晴らしい。地に足のついたと言ったら語弊があるかもしれませんが、このクオリティの高さ、落ち着いた空気は神楽坂ならではのような気がします。神楽坂にはすごく飲食店が多い。けれど飲食店ばかりが集積したエリア特有の猥雑さとは無縁です。住宅と飲食店がうまい具合に隣り合わせになっていることが大きいのかもしれません。外から神楽坂に足を運んでこられる方と、この町に住んで普段使いで飲食店を使う方と、その両立が絶妙なのだと思いますね。

今年10月『Bar Sylvius』は満5歳。シルヴィウス博士が石の階段を見守って5年の歳月が流れた。この短くも長い時間の中で博士と田淵さんは何組の一平とナオミを目撃したことだろう。

 

Bar Sylvius』

162-0825 新宿区神楽坂3-6 カーサピッコラ神楽坂3F

Tel 6265-3756

月 ~ 金 17:00 ~ 25:00

日・祝日 15:00 ~ 22:00

土    定休

charge    500円

喫煙可

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